藤原の浜は、宇摩市土居町の海岸にある浜である。
藤原の浜は昔から多くの市民だけでなく、県外からも多くの観光客を集める浜であった。それはこの浜の一部は漁業権が放棄されており、だれでも無料で簡単に潮干狩りや海の生き物と戯れることができたからである。
この浜は遠浅の砂浜である。私の記憶では、浅利、馬刀貝、ツメタ貝などの貝や渡り蟹、キスやカレイにも出会うことができた。私が子どものころ、防波堤のテトラポットに魚のあらを入れた蟹籠を沈めたことがある。結果は想像にお任せするが、漁業権のない浜では思いついたことができた。子どもたちには絶好の遊び場であった。
近年、この浜に降りるための防波堤のスロープに防潮扉ができ、その扉は常時閉じられている。そのため、人々は浜に降りられなくなった。大人であれば扉を乗り越えることはできるかもしれないが、子どもには難しい。南海沖地震・津波対策なのかもしれないが、このようにしてまた一つ子どもたちが自然の中で遊ぶことのできる場所が失われていくのだ。
近年、どこに行っても同じように見える日本の地方都市に魅力を感じることがない。観光地の多くも形骸化し、感動的な発見をする機会が少なくなった。人口が減り続ける日本において、地方は顕著に減速する一方である。そんな中、没個性的な地方都市が、未来においても多くの人に価値を感じてもらい、生き続けられる道は、はたして存在するのだろうか。
安全や安心は大切である。ただそれだけを優先し、楽しさや幸せを蔑ろにするのでは意味がない。私たちの頭はその両立を目指すために日々働き続ける必要があると私は考える。